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大阪大学
女性研究者に多様で発展的なキャリアパスを!産学官連携による女性研究者循環型育成クラスター 音声読み上げ


掲載日:2019/03/28
更新日:2023/08/04

下記の取組は、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」(事業期間:2016年度~2021年度)において実施しました。これらの取組が高く評価され、本学は中間評価・事後評価ともに最高のS評価を獲得しました。
事業終了後には、女性研究者循環型育成クラスターを構築した取組を発展・拡大させるべく「DE&Iコンソーシアム・ハンダイ」を設立し、さらなる産学官連携による女性研究者循環型育成に取り組んでいます。


産学官連携による女性研究者循環型育成クラスター

社会と共に創造する阪大スタイルで男女協働を推進

大阪大学は、2021年に創立90周年を迎えます。関西財界や市民の強い熱意により創設された大阪大学は、「地域に生き世界に伸びる」をモットーとして、「大学の地域貢献度調査」(日経新聞社 2017年)で第1位を獲得するなど、常に地域社会と共に歩んできました。

現代の大学は「学問の深化」に加えて「社会的課題解決への貢献」が求められています。世界屈指のイノベーティブな大学を目指す本学において、ダイバーシティ環境の実現は欠くことのできない重要な課題になっています。

2016年度「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」に採択

大阪大学は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、ダイキン工業株式会社を共同実施機関として「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」に採択されました。3機関共に理工系と医歯薬系の女性研究者・技術者、特に上位職が少ないという課題を共有していました。そこで、大学、研究機関、企業の壁を超えて、社会的価値の創出に挑む女性研究者を持続的に育成する「女性研究者循環型育成クラスター」を関西に形成するプロジェクトを開始しました。

企業とのクロスアポイントメントがスタート

クロスアポイントメントとは、協定に基づき、複数の機関に身分を有して勤務することができる制度です。2017年4月、企業とのクロスアポイントメント(産学クロスアポイントメント)により、ダイキン工業研究員の安本千晶さんが、大阪大学工学研究科助教に着任しました。全国の国立大学に先駆けて実現した、この画期的な産学クロスアポイントメントは、「女性研究者循環型育成クラスター」の重要な取組の一つ。大学と企業の壁を超えて、女性研究者のリーダー育成を目指しています。

大阪大学 連合小児発達学研究科 研究科長 谷池 雅子氏

大阪大学 連合小児発達学研究科
研究科長 谷池 雅子氏

ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター研究員 大阪大学工学研究科 助教 安本 千晶氏(右)大阪大学 歯学研究科 教授 加藤 隆史氏

(左)
ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター研究員、大阪大学工学研究科 助教 安本 千晶氏
(右)
大阪大学 歯学研究科 教授 加藤 隆史氏

安本さんは、谷池雅子教授(連合小児発達学研究科)を研究代表者、加藤隆史教授(歯学研究科)らを共同研究者とする、大阪大学とダイキン工業の睡眠環境に関する共同研究に参加しています。「総合大学である大阪大学では、企業内研究では届かなかった領域にアクセスでき、多様な人的ネットワークが得られています」と語り、将来につながるメリットを感じているようです。

出向元であるダイキン工業人事本部ダイバーシティ推進グループ女性活躍推進担当部長の池田久美子氏は、「社内だけでは得られない分野の知識やアイディア、ノウハウが、より早く、広く得られることで、本人にとっての研究の加速だけでなく、弊社における人材育成につながるのではないか」と期待を膨らませています。

こうしてスタートした産学クロスアポイントメントは、以降も順調に拡大し、2019年7月までに6名の女性研究者を受け入れています。

受入年月 出向元 大阪大学での受入
2017年4月 ダイキン工業株式会社 工学研究科 助教
2018年2月 サントリーホールディングス株式会社 工学研究科 特任教授(常勤)
2018年4月 ロート製薬株式会社 歯学研究科 特任助教(常勤)
2018年5月 サラヤ株式会社 工学研究科 特任准教授(常勤)
2018年8月 株式会社マンダム 薬学研究科 特任助教(常勤)
2019年7月 西日本電信電話株式会社 人間科学研究科 特任准教授(常勤)

産学クロスアポイントメントの波及効果

同じ環境に長くいると人の感覚は鈍化します。新たな研究環境を提供し、異なる分野の人たちとの対話が促進される産学クロスアポイントメントは、一人ひとりの研究力を着実に育んでいます。

さらに産学クロスアポイントメントの効果は、研究力の向上だけにとどまらないことも見えてきました。

特に理工系の女子学生にとっては、身近に接する機会の少なかった女性研究者の研究現場やライフイベントに向き合う姿勢そのものが、自身のライフキャリアについて考える上で格好のモデルケースとなっています。また男性研究者や男子学生にとっては、まさに男女協働の意識を高める絶好の機会となっています。

産学共同研究を通じた女性リーダーの育成

「女性研究者循環型育成クラスター」のもう一つの重要な取組である、女性研究者をリーダーとする産学共同研究においても成果が表れてきています。

産学共同研究のリーダーとなる経験を通して、マネージメント力の向上が見られ、3名の助教が准教授に昇任しています。また、「阪大女性研究者育成型マッチングファンド(産学共同研究)」が新設され、講師から昇任した女性特任教授(常勤)が研究代表者を務める、大幸薬品と大阪大学医学系研究科との大型共同研究に対して研究費が支援されています。

女性研究者循環型育成クラスターの拡大

「女性研究者循環型育成クラスター」は2018年度に目標を前倒しして創設し、2019年3月現在、26の協力機関が加わるまでに拡大しました。グッドプラクティスや課題の共有、次世代の育成に向けた連携など、多様な取組を進めています。

女性研究者循環型育成クラスターの拡大


【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

大阪大学 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ (牽引型)

問合せ先
大阪大学 ダイバーシティ&インクルージョンセンター


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