宮崎大学
ゆるやかにつながることで課題・情報を共有 九州・沖縄アイランド女性研究者支援ネットワーク(Q-wea)の取り組み 音声読み上げ
掲載日:2019/03/28
ゆるやかにつながるためのネットワークとして
「九州・沖縄アイランド女性研究者支援ネットワーク(Q-wea)」(以下:Q-wea)とは、九州・沖縄地域において女性研究者支援やダイバーシティ推進に取り組む高等教育機関がゆるやかにつながることを目的として生まれたものです。2019年2月現在、国公私立合わせて12機関が参加しており、主に年1回開催の「九州・沖縄アイランド女性研究者支援シンポジウム」に対する協力、学習会等を通じた関係者のスキルアップなどを行っています。
設立の経緯
宮崎大学は、2008年に文部科学省科学技術振興調整費女性研究者支援モデル育成に採択されたことを契機に、女性研究者支援の取り組みを本格的にスタートしました。Q-weaを構築するきっかけとなった「宮崎発!第1回九州アイランド女性研究者支援シンポジウム」を開催したのは同事業2年目、2009年のことです。
当時科振費事業に取り組んでいた九州大学・熊本大学の関係者とも協議を重ね、シンポジウムでは九州・沖縄各県の国立総合大学から女性研究者支援担当の理事・副学長によるパネルディスカッションを行うこととしました。女性研究者支援に取り組む機関が今ほど多くない中、企画趣旨をご理解いただく上で苦労した面もあったようです。しかしながら、シンポジウム当日は、8大学の理事・副学長がそれぞれの立場から、女性研究者支援の必要性や、今後のあり方について非常に熱い議論が交わされました。
実務担当者の声から生まれたQ-wea
当初から、シンポジウムは各県の持ち回りで継続的に開催することを想定していましたが、各大学で女性研究者支援に携わる実務担当者の中から「年に1回のシンポ開催だけでなく、もっと継続的に情報共有ができる関係の構築を」という意見が出されました。すでに女性研究者支援に取り組んでいる大学、これから取り組もうという大学・・・と置かれた状況はさまざまでしたが、目的を同じくする担当者同士で有機的につながることを有益だと感じる点で合意、2010年4月にはウェブサイト「Q-wea’s net」の立ち上げにこぎつけました。
自主的に行ってきたさまざまな取り組み
Q-weaの大きな特徴は、組織同士のつながりというよりも、関係者個々人が立場を超えてフラットにつながっているという点です。したがって、疑問や課題が生じたとき、それぞれが必要に応じて各機関に気軽に問い合わせることができる関係が構築されていきました。また、関係者のニーズに応じてさまざまな取り組みを行っており、関係者向け学習会の開催、周知を目的とした広報紙の作成、Skypeを活用したオンラインミーティングの実施、全国的なシンポジウム等に合わせたQ-weaミーティングの開催など、その内容は多岐に渡ります。いずれも参加機関関係者の自主的な協力により実現しているという点は特筆すべきことだと考えています。
中でも学習会は、「企画力・調整力を磨こう!実務担当者スキルアップ編」「集って!学んで!語り合おう!Q-wea合宿ワークショップ」など、関係者のニーズを踏まえたテーマにより、ワークショップ形式で情報や課題の共有を行うことを主としています。
こうした取り組みを継続する中、2014年には活動継続に向けて事務局機能が必要であることが議論され、本学に事務局を設置しました。事務局は2年ごとの持ち回りとすることとなっており、2016年から琉球大学、2018年から大分大学が担当しています。
役割の変化と関係の多層化
シンポジウムや学習会など回を重ねるとともに、女性研究者支援に対する各機関の取り組みも充実してきました。そうした中、各機関の取り組みを充実するだけでなく、Q-weaとしてどのようなことを目指していくべきかという議論が行われ、2016年に今後の活動指針として「九州・沖縄アイランド女性研究者支援ネットワークミッション」を制定しました。
同じく2016年には、九州・沖縄地区で構築した実務担当者のつながりをさらに広げたいという意図で、文科省主催シンポジウムの日程に合わせ、「Q-weaスペシャルミーティング」を開催し、全国25機関から37名の参加をいただきました。
また、2017年には、参加機関の連携をさらに強化することを目的とした「Q-wea理事・副学長ネットワーク」が設立され、女性研究者支援等における各機関のリーダーが継続的に協議できる場となっています。
このように、九州・沖縄におけるネットワークの更なる充実、九州・沖縄以外の方も視野に入れた交流機会の提供など、ニーズに応じてQ-weaの役割は変化しています。
今後に向けて
ネットワーク構築となったシンポジウムも2019年には11回目を数えます。今後は、シンポジウムの開催継続へ向けた協力はもちろん、女性研究者支援等関係者の情報共有・スキルアップの場として、ニーズに即した活動を継続していきたいと考えています。