お茶の水女子大学
ワーク・ライフ・バランスの推進 音声読み上げなし
掲載日:2019/07/31
更新日:2023/12/18
お茶の水女子大学は、「学ぶ意欲のあるすべての女性にとって、真摯な夢の実現の場として存在する」という理念の下に、女性も男性も自由かつ平等に活躍できる多様で豊かな人間社会を実現するという使命を果たしていくことを目指し、仕事(研究)環境・勤務体制を整備し、育児や介護などと両立して仕事(研究)を続けることができるよう、下記に例示するような様々な事態に備えた支援態勢を組織しています。
〔ケース1〕子育て中の女性研究者を支援する研究補助者の配置
この制度は、当初、2006~2008年度 科学技術振興調整費採択プログラム「女性研究者に適合した雇用環境モデルの構築」によって試験導入され、当該プログラム期間終了後の2009年度からは本学独自の事業として運営が始まりました。子育てをしながら優れた研究を行う本学の常勤女性教員(研究者)を対象に、子の年齢に応じ、週29時間を上限として、技術的・事務的に研究活動をサポートする研究補助者を配置する支援制度であり、毎年3~4名程度が利用しています。本支援により、被支援者の研究活動が滞りなく進められ、外部資金の獲得、論文掲載、学会発表等の件数が増加するなど研究成果の向上が認められたほか、離職せざるを得ない状況の回避や役職を積極的に引き受ける気持ちの醸成につながるなど、精神的なサポートとなったことも報告されています。
〔ケース2〕学内研究者に対する一時支援
2010年度より、男女を問わず、研究者本人の妊娠中、未就学児養育中、親族の介護や病気看護中である学内研究者を対象に、月40時間を上限として、被支援者の教育・研究活動を技術的・事務的に支援する補助者への謝金として使用できる支援金制度を実施しており、毎年10名程度(前期・後期募集に対する延べ人数)が利用し、研究者の「離職者ゼロ」を実現しています。
〔ケース3〕育児休業を取れない教員の職務を軽減
2005年度から、研究指導や実験スケジュール等の事情により、子(3歳まで)の育児休業を取ることができない大学教員を対象(男女問わず)に、委員会業務などの減免や授業負担を軽減するために代替となる非常勤講師を採用することができる制度を導入しています。育児休業取得の意向確認をした上で、毎年5名程度の教員がこの制度を利用しています。
〔ケース4〕学内に保育所を附置
本学には、「女性が働き学ぶ大学に保育所を」という願いにより発足した学内保育施設がかねてから開設されていましたが、2005年4月、本学在学生・教職員の子女を対象とした本学附属の保育所「いずみナーサリー」を開所しました。原則として生後6か月から満3歳未満の乳児及び幼児を保育対象とし、月極保育のほか、時間預かりも実施。2012年からは、本学学生・教職員を対象に、見学及び子どもたちとのふれあい企画を年1回実施し、事務職員に対しては、本企画を研修として位置づけ、子育てにおける男女共同参画意識の向上を図っています。(新型コロナウイルス拡大感染防止の観点により、現在休止。)また2009年度からは、本学で学び・研究するための環境の整備・充実を図ることを目的とし、本保育所を利用する学部生及び大学院生を対象に、保育料の半額を「育児支援奨学金」として授与し、毎年多くの学生が受給しています。
〔ケース5〕みがかずば研究員制度の創設
2012年度に、本学独自の特別研究員(呼称:みがかずば研究員)制度を創設しました。本制度は、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ女性研究者の養成・確保に資することを使命とし、優れた女性研究者の継続的な研究活動をサポートするとともに、女性研究者が研究中断後に円滑に研究現場に復帰する機会の提供、例えば学位を取得した女性が様々なライフイベントに臨みながら研究者として自立することの支援等を目的としています。その成果として、既に研究員経験後にテニュアポストを得るなどのキャリアアップに繋げた女性研究者が輩出しています。
▶2022年度は12名:うち1名が国立大学准教授、1名が国立大学特任講師、1名が私立大学講師、1名が本学リサーチフェロー、2名が次年度継続採用
〔ケース6〕イベント時に臨時託児室を開設
土日祝日に通常授業、入試、学内イベント等を行う際、当該業務のために勤務を要する子育て中の教職員(通常授業に出席する学生を含む)を対象に、臨時託児室を開設し、子どもの一時預かりを実施しています。また、シンボジウム開催時には、子育て中の者もシンポジウムへ参加しやすいように本学教職員や学生以外のシンポジウム参加者にも開放し、費用は本学が負担しています。
〔ケース7〕事務職員の早出・遅出勤務導入
事務職員に向けた業務の効率化、通勤混雑緩和等の働き方改革の一環として、2017年10月から始業時間を変更する早出・遅出勤務を実施しています。また2019年5月からは、始業時間の選択肢を増やし、弾力的な運用を開始し、効果を上げています。推計で、毎年10名程度が利用しています。
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
★C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている