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岩手大学
女性研究者・上位職増加をめざして、無意識のバイアスに挑戦 ダイバーシティ実現で北東北の未来を先導 音声読み上げ


掲載日:2019/08/23
更新日:2023/12/15

岩手大学における男女共同参画の展開

男女共同参画社会の実現に向けて地域を先導

岩手大学は、2004年、法人化に際して「いわての“大地”と“ひと”とともに」を校是に掲げ、行動指針としました。2009年には、新制総合大学として創立60周年を迎え、今後も地域社会に開かれた大学として発展するには、男女共同参画が不可欠と考え、教育機関、研究機関、働く場、地域の一員の4つの立場から、男女共同参画を積極的に推進することを宣言しました。

2010年には、女性研究者支援モデル育成事業に「共生の時代を拓く、いわて女性研究者支援」が採択され、取組が加速しました。その後、切れ目なく、文部科学省科学技術人材育成費補助事業女性研究者研究活動支援事業(拠点型)(2013~2015年度)に「いわての復興に貢献する女性研究者支援」が、同ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)(2016~2022年度)に「ダイバーシティ実現で北東北の未来を先導」が採択され、岩手大学で成果をあげた取組を県内、さらに北東北へと展開しています。これらの事業は、いずれも最高位のS評価を獲得しており(牽引型については、中間評価として)、全国への波及効果もあげています。また、これらの事業や、この間に取り組んだ地元銀行と連携した学内保育所の開設、地域社会の女性リーダー育成をめざす「女性のキャリア形成支援リカレントプログラム」実施等を通じて、地域の男女共同参画推進を先導してきました。(詳細はこちら

女性研究者の採用・定着・登用を促進するポジティブ・アクション制度

岩手大学では、すべての教員公募人事が女性限定、または女性優先(業績及び資格等の評価が同等ならば女性を採用)のいずれかです。さらに、ポジティブ・アクションを促進するため、女性限定公募へのインセンティブを制度化しています。2009年から実施しているOne-Up公募制度は、助教を准教授とする等、上位の職位で公募することが女性研究者の採用に効果的と見込まれる場合に、上位の職位で女性限定公募ができる制度で、女性研究者の上位職比率の向上に成果をあげています。2018年には、テニュアトラック制度導入を踏まえ、テニュアを付与された女性研究者が、その時点で基準を満たせば、One-Upを適用して上位の職位となれる制度に拡充しました。また、女性限定公募で採用に至った場合、女性研究者に3年間のスタートアップ経費を支給するポジティブ・アクション経費制度もあります。2018年には、この経費を限定公募の周知や面接時の旅費等の公募促進方策にも利用できるよう制度の拡充を行いました。

ポジティブ・アクションの有効性を高める「無意識のバイアス」への意識形成

女性に対する意識的な偏見や差別は解消されつつありますが、性別によるステレオタイプに基づく、無意識・潜在的なバイアスは、本人もそのバイアスに気づかないために、解消がむずかしく、それが女性研究者の採用・登用を阻む一要因となっています。岩手大学では、2016年より「無意識のバイアス」についての理解を深め、その影響を最小限に留めるための取組を進めてきました。2017年には、学長・理事等の部局長を対象に毎年実施している管理職セミナーのテーマに「無意識のバイアス」を取り上げました。また、本学が代表機関を務める「北東北ダイバーシティ研究環境実現推進会議」として、弘前大学をはじめとする共同実施機関と共に、研究者採用ガイド「ダイバーシティの観点からの研究者採用を実施するために」を作成しました。このガイドは、海外の大学資料を参考に、①多様な候補者からの応募を実現する、②ダイバーシティを実現する選考とする、③選考の効果を向上させるための具体的方策をまとめたものです。

さらに、2017年には、女性優先公募の有効性向上を目的に、教員人事選考過程をダイバーシティの観点からレポートする試行を開始しました。試行中は、男女共同参画推進室兼務教員がオブザーバーとなり、レポートを作成してきました。約2年間の試行期間を経て、関係者の意識形成が進んだこと等を踏まえ、2019年、選考委員長がダイバーシティレポートを作成し、男女共同参画推進室に提出することが制度化されました。ダイバーシティレポートには、採用ガイドの活用についても盛り込まれており、無意識のバイアスの影響を軽減するためのチェックリストの機能もあります。

北東北における女性研究者採用・登用の加速

女性研究者の採用・定着・登用のプロセスをカバーするには、ポジティブ・アクション、研究環境整備、研究支援の3つの柱が必要です。これらを包括的かつ有機的に実施することで、「北東北ダイバーシティ研究環境実現推進会議」を構成する工業高等専門学校や企業、研究所等の6機関のいずれもが、女性研究者の在職比率を向上させ、上位職登用を実現させました。今後も、北東北が女性の能力を発揮できる地域として創生できるよう、一層の取組を進めていきます。

【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

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