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広島大学
地域産学連携による女性研究者の研究力向上 音声読み上げ


掲載日:2019/08/29
更新日:2023/09/27

(1)国際型ダイバーシティ研究環境実現プログラムの実施

広島大学は、2017年度にダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)の採択により、「国際型ダイバーシティ研究環境実現プログラム」を実施しています。同プログラムの実施に当たっては、広島大学を代表機関とし、マツダ株式会社、デルタ工業株式会社、一般財団法人国際開発センターを共同実施機関としています。

このプログラムは、研究環境整備、女性研究者の研究力向上とリーダー育成、女性研究者の積極採用と上位職登用、ダイバーシティ研究環境実現モデル開発の4つの取組を軸として、大学と地域の企業の女性研究者に新たな知識や機会を提供し、地域に根差しつつ国際的な視点も有する女性研究者、特に理工農学系女性研究者の量的・質的拡充を目指しています。

また、地域のネットワーク強化ための産学官ダイバーシティ推進協議会を組織し、定例会合で意見交換や情報共有を行っています。現在、産学官ダイバーシティ推進協議会には、県立広島大学や広島市立大学等の教育機関に加え、JFEスチール(株)、中国電力(株)、三菱ケミカル(株)、マイクロンメモリジャパン合同会社等の民間企業、広島県、広島市、東広島市等の地方自治体等、合計38機関(2019年5月1日現在)が参加しています。

(2)具体的な成功事例

代表機関である広島大学の牽引のもと、共同実施機関や産学官ダイバーシティ推進協議会メンバーが協力して、以下の研究助成事業で高い成果をあげつつあります。

■異分野・異業種交流会等の共同実施

広島大学及び産学官ダイバーシティ推進協議会メンバー機関内の様々な業種の女性研究者が集まり、異分野・異業種の垣根を越えてネットワークを築くことにより、研究のニーズ・シーズのマッチングを生み出しています。また、キャリアアップセミナー、英語プレゼンテーションセミナー、Nature誌の編集経験者によるインタラクティブな論文執筆ワークショップなどを共同実施することにより、ネットワークの深化・拡大を図っています。

英語論文執筆セミナーの様子

 

異分野・異業種交流会

■女性研究者共同研究費助成事業

女性研究者をリーダーとする優れた共同研究に対して研究費を助成する「女性研究者共同研究費助成制度」を新設。2018年度には連携機関のそれぞれの特性やニーズ、技術力を活かした以下の3件の共同研究を採択しました。

広島大学とマツダ(株)による共同研究「マツダ(株)の人材育成型インターンシップ(短期間コース)の効果検証と今後のあり方の検討」では、これまで広島大学からマツダが受け入れたインターンシップの効果を測定し、有効性の要因分析を行っています。

広島大学とデルタ工業(株)による共同研究「避難者の睡眠の質が生理学的指標に及ぼす影響」では、災害発生時に被災者が車内で長時間滞在することもあることから、睡眠の質を高めるシート開発を、シート製造業のデルタ工業と広島大学の女性研究者で行っています。今後の商品化が期待されます。
(広島県においては、2016年の広島市の豪雨災害、「平成30年7月豪雨」の災害で多数の家屋が土石流に流され、車での避難生活を余儀なくされました。)

広島大学と国際開発センターによる共同研究「持続可能な開発目標(SDGs)の認知度にみるグローバル目標の有効性に関する基礎的考察」では、年齢層や性別によって認知度に差異があることが判明しました。SDGs達成には、消費活動や環境問題など国民の意識改革が不可欠であることから、認知度を高めるために必要な政策のあり方や効果発現要因を考察しています。

■博士課程後期合格者の入学料不徴収を実施

産学官ダイバーシティ推進協議会メンバー機関に所属する常勤職員とその配偶者を対象に、研究活動を中断中の修士の学位を有する女性で、広島大学の博士課程後期を受験して合格した方の入学料を徴収しないという経済的支援を行っています。2019年度入学者は、6名の実績。

(3)成功要因

上記成功事例に関する成功要因としては、特に以下の4点が大きい。
1.大学の自主経費を活用して、他機関との共同研究が可能な、多様な分野の女性研究者を積極的に採用し、基盤整備を行ってきたこと。
2.「国際型ダイバーシティ研究環境実現プログラム」において「女性研究者の研究力強化とリーダー育成」を広島大学女性研究活動委員会と研究企画室が中心となり、活動を進める体制を整えたこと。
3.同プログラムの代表機関である広島大学が牽引し、共同実施機関、産学官ダイバーシティ推進協議会メンバー機関の間で連携をとることにより、異分野・異業種交流機会を提供し、ニーズシーズのマッチングを生み出したこと。
4.同プログラムに第三者評価委員会を設置し、取組全体を客観的な視点で評価する仕組みを構築することにより、研究助成の進め方について助言を受けたこと。

【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

=追記=
「国際型ダイバーシティ研究環境実現プログラム」(2017年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」採択の本学プログラム)は、2022年度をもって事業期間を終了しましたが、産学官ダイバーシティ推進協議会は、その後もダイバーシティ推進連絡会として継続するなど、引き続き、地域産学連携による女性研究者の活躍支援に取り組んでいます。(2023/9/27追記)


問合せ先

広島大学 男女共同参画推進室


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