宮崎大学
長期的な視点で女性研究者を育てる
地域をリードし未来を拓く女性研究者を育てるためのStep by Step プログラム 音声読み上げ
掲載日:2019/10/02
女性教員比率向上のために
本学では、2008年度(平成20年度)科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」(「逆風を順風に 宮崎大学女性研究者支援モデル」)の採択を契機に全学的な男女共同参画推進に加え、女性教員を対象とした研究環境整備、研究力向上に取り組んできました。これらの継続的な取り組みにより、 2009年度(平成21年度)に13.5%であった本学の女性教員比率は、2015年度(平成27年度)に16.7%へと増加しました。
しかしながら、女性教員在籍状況を見ると、教授・准教授といった上位職者数が伸び悩んでおり、特に自然科学系分野においてその数が非常に少ないことが新たな課題として明らかになりました。そこで、女性教授・准教授を増やす方策として、女性教員の上位職登用のためのポジティブアクション(アテナプラン)、ならびに本学女子大学院生等を対象に女性研究者を長期的に育成する「Step by Step方式」などを提案し、2016年度(平成28年度)「科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」に採択されました。
女性上位職者登用のためのポジティブアクション
(アテナプラン)
先に述べたように、本学では自然科学系部局における女性上位職者(教授・准教授)が非常に少ない状態が続いていました。その状況をよりよいかたちで改善することを目的に実施したのが「アテナプラン」です。女性教授が在籍しない、あるいは極めて少ない医学部医学科、農学部、工学教育研究部及び自然科学系の学内共同教育研究施設において、男女間格差を是正するとともに、女子学生や女性教員の上位職への意欲向上につなげることを目的としています。
具体的には、「女性教員の上位職への登用のためのポジティブアクション」(2016年(平成28年)6月6日、学長決定)に基づき、准教授・講師として本学に在籍している者で、博士の学位および優れた研究業績を有し、上位職としての職務を遂行できる者を、所属部局が学長に推薦し、本学教員選考規定の申合せに定める「公募によらない選考」にて資格審査を実施します。
本ポジティブアクションを運用した結果、2019年(平成31年)3月までに、自然科学系部局の女性教授が4名誕生し、若手研究者や学生のロールモデルとして活躍しています。その結果、当該部局の本制度への関心はさらに高まり、上位職登用における「無意識のバイアス」の払拭にもつながっているものと考えています。
中・長期の人財育成-女子大学院生を対象とした「Step by Step方式」
本学では、女性教員の上位職への登用のためのポジティブアクションに加え、女性教員数増加を目指す中・長期の戦略的取組として、女子大学院生を対象とした「Step by Step方式」を実施しています。
このシステムは、本学の自然科学系学部に在籍し、研究者を目指す優秀な女子学生に本学教員へのキャリアパスを提示し、経済的支援を行いながら育成していく制度です。対象は修士課程・博士課程への明確な進学意思を持つ学部学生、もしくはすでに大学院に在籍する学生で、相当以上の学業・研究の実績を有し、将来本学で教育・研究に携わる強い意欲を有することが要件となっています。
本制度を希望する者は、指導教員(もしくは指導教員となる予定の者)からの推薦を受け、適切な学内選考を経た上で、「特別助手」としての採用されます。本制度により、2019年(平成31年)1月に本学の医学獣医学総合研究科修士課程に在籍する学生が特別助手に採用されました。
「Step by Step 方式」採用者には、研究環境整備や経済的な支援の下、博士の学位を取得し、本学教員にふさわしい優れた研究業績を挙げ研究者としてのキャリアアップを図りながら、次世代のロールモデルとなるべく活躍を広げてほしいと考えています。
地域をリードし未来を拓く女性研究者を育てるためのStep by Stepプログラム
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
★A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
★F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている