大阪府立大学
女性研究者を研究リーダーに育てるための連続性のあるスキルアップ支援プログラム 音声読み上げ
掲載日:2019/10/16
スキルアップ支援プログラムの目的と位置づけ
大阪府立大学は2010年に女性研究者支援センターを立ち上げ、研究者のワーク・ライフ・バランス支援に力を入れてきました。その後、2015年の「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」(以下、「ダイバーシティ特色型」)の採択を機に、女性研究者への上位職登用推進を目指したスキルアップおよびキャリアアップ支援として始めたのが、このスキルアップ支援プログラムです。
この支援プログラムは、女性が研究者として活躍するキャリアパスの構築支援の一環として、研究に関わるスキル向上と、研究グループにおいてリーダーシップを発揮する機会の提供を行うことを目的としています。また、スキルアップ・セミナーとRESPECTに連続性をもたせることにより、女性研究者のスキルアップ支援を研究リーダー育成につなげていくところに特色があります。これらの支援プログラムを受けた女性研究者が、様々な研究力を向上させることにより、上位職登用促進につながることが期待されています。
研究力向上を目指す!
4種類の「スキルアップ・セミナー」
スキルアップ・セミナーは、外部資金獲得セミナー、英語論文作成セミナー、マネジメント・セミナー、プレゼンテーション力向上セミナーの4種類です。
このうちマネジメント・セミナーは、上位職および研究リーダーに必須のマネジメントスキルを身につけるためのセミナーです。マネジメントスキルは、企業であれば管理職研修等で学ぶ機会がありますが、大学の研究者にはそのような機会があまりなく、自分の出身研究室の教授をロールモデルとして、そのやり方を真似ることなどが多くなります。特に女性が少ない研究分野では、女性研究者に必要なマネジメントスキル(たとえば、妊娠・出産期(産休・育休中)の対応)を提供できるロールモデルが身近にいない場合が多いことから、女性研究者にとって、広くマネジメントスキルを学ぶ機会は重要です。
研究リーダーを育成する!
RESPECT(研究実践力強化プログラム)
RESPECTは、女性研究者に研究チームのリーダーになる機会を提供することを目的としています。スキルアップ・セミナーに2回以上参加した学内の女性研究者は、RESPECTへの申請資格を得ることができます。採択者は、学内公開審査会におけるプレゼンテーション審査によって選ばれ、1年間の研究費補助を受けられます。
RESPECTに申請する際に女性研究者は、研究チームを組み、そのリーダーとして活動することが求められます。リーダーシップの取り方としては、(1)共同研究リーダーシップ(大学や企業など教育研究機関の研究者が参加する研究グループ)、(2)グローバルリーダーシップ(海外研究者と連携する研究グループ)、(3)研究者育成リーダーシップ(ポスドク、博士課程の学生などを含む研究グループ)、(4)地域連携リーダーシップ(大阪地域の大学や企業などの研究者が参加する研究グループ)のうちから、自分の研究計画に近いものを選んで申請することになっています。女性研究者はRESPECT申請を通して、自らがリーダーとなる研究チームの組織化を学ぶことができます。そして、この経験を糧に、大型研究資金の研究チームをけん引するリーダーに育つことが期待されています。
さらに他の研究費支援でも、女性研究者を支援
RESPECTの他にも、学内の女性研究者のみを対象とする研究費支援として「女性研究者支援事業」があります。これはダイバーシティ特色型の採択を機会に、学長の提案で2016年から研究推進課が実施しているもので、科研費獲得を目指し、2年間の研究費支援が得られる制度です。毎年、5件~7件が採択され、RESPECTとともに、女性研究者の研究力向上に寄与しています。
これからも大阪府立大学は、ダイバーシティ特色型の最終目標「上位職(教授・准教授・講師における女性比率23%」(2020年度)を目指して、全学をあげて女性研究者のスキルアップおよびキャリアアップ支援に力を入れていきます。
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
★A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
★C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている