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東京医科大学
科研費フォローアップ助成金
~科学研究費の採択率向上等を含む女性研究者の研究力向上に係る取組~ 音声読み上げ


女性研究者の研究力を上げていく支援の必要性

女性研究者が上位職に昇任し、活躍するためには就業継続とともに研究力を上げていくことが求められます。女性研究者の研究活動支援事業を開始した2013年度においては、科学研究費助成事業(以下、科研費)に申請した女性は、本学申請者全体の15.0%でした。同年度にダイバーシティ推進センター(旧・医師・学生・研究者支援センター、2019年4月1日改組)で実施した「研究者とワーク・ライフ・バランスに関するアンケート調査」によると、申請しなかった理由としては、「科研費申請に割く時間がない」30.3%に対し、一番高いのが、「特に理由はない」で40.9%、「申請しても採択される自信がない」10.6%という状況でした。医科大学においては、医師のキャリアとして、学位や研究よりも専門医資格を優先する実態があり、研究へのモチベーションを上げていく必要がありました。

そこで、初めて科研費を申請する女性研究者や研究歴の浅い女性研究者を主な対象に科研費獲得セミナーを開催するとともに、科研費の個別相談や申請書の事前チェックの支援も行いました。

一方、本学では、2008年度から科研費申請の結果、「不採択」となった研究課題に対し、その研究代表者の研究活動をフォローアップするため、研究計画に必要な経費の一部を助成することを目的とした「東京医科大学科研費フォローアップ助成金」を運用しています。女性研究者の研究活動を支援するために、当センターで、理事長、学長への要望書を上げて、ポジティブ・アクション政策の趣旨を説明し、2014年度より、当助成金に女性研究者枠を設置して、女性研究者が自らの研究に自由に使用できる資金獲得を支援することができました。

科研費を申請しなかった理由 性別比較


出典:「研究者とワーク・ライフ・バランスに関するアンケート調査」(東京医科大学2013年度調査)

科研費フォローアップ助成金 女性研究者枠の運用方法

科研費フォローアップ助成金への応募資格者は、科研費で「不採択」となった研究者です。科研費フォローアップ助成金の応募の学内広報とは別に、研究支援課の協力を得て、該当女性研究者に個別にメールで案内を送るようにし、応募資格者の応募を促しました。

2020年度からはダイバーシティ推進の一環として、女性研究者のライフイベント等によるキャリアブランクを考慮して、女性研究者枠の応募資格年齢を「50歳以下」から、 5 歳繰り上げて「55歳以下」としています。また一般枠と重複して応募することも可能としました(ただし、一般枠は、応募資格年齢は「50歳以下」で、また、重複受給は不可)。選考は、学内の研究戦略推進会議で行われ、一般枠では、男女の区別なく、日本学術振興会の評価順位・点数を元にフォローアップ助成金の審査を行います。女性研究者枠でも同様に、審査を行います。

女性研究者枠に応募をすることで、一般枠で不採択となった女性研究者が採択される可能性に繋がります。特に応募資格年齢を5歳引き上げたことで、出産・子育てなどライフイベントにより研究の進捗が遅れていた者にも研究助成金交付の機会が拡大しました。なお、採択額については、本来の採択者の一番順位の低い者への交付額を超えないものとしています。もちろん、採択を受ける女性研究者の半数以上は一般枠で採択を獲得し、研究を進めています。

女性研究者の科研費申請者数1.6倍、新規採択者数1.8倍に増加

科研費フォローアップ助成金について、女性研究者枠の設置により、女性の応募率は2013年度の36.0%から、2020年度には74.1%に倍増しました。また、当該助成金の採択者数に占める女性比率も18.4%から39.2%に増加しました。2020年度は女性研究者枠を用いることで、女性応募者全員が採択されました。科研費フォローアップ助成金で次の科研費に向けて準備を進めてもらうことができていると考えます。

また、科研費へのチャレンジは、研究活動支援者配置を受けているライフイベント中の研究者にも直近の科研費申請を義務付けており、全員が申請しています。他にも、女性研究者の研究力アップ研修、相談、メンター指導などを行った結果、女性研究者の研究活動支援事業の取組前に比べて、女性研究者の科研費申請者数は1.6倍、新規採択者数は1.8倍に増加し、本学全体に占める女性比率も大きく上がりました。女性研究者の科研費フォローアップ助成は、科研費不採択者の研究成果を上げて、次年度以降の科研費申請率、採択率を上げることに貢献していると考えられます。今後も、「時間が足りない」、「特に理由はない」といった要因を少しでも取り除き、一人でも多くの女性研究者が科研費に挑戦していく風土を醸成していきたいと考えています。

<科研費フォローアップ助成金応募者に占める 女性比率と女性応募率の推移>

<科研費申請者と新規採択者に占める女性比率の推移>
女性研究者の科研費申請数1.6倍、新規採択者数1.8倍
          (2020年度/2013年度 実数比)

【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
  戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
  成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
  説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

東京医科大学ダイバーシティ推進センター