奈良先端科学技術大学院大学
雇用期間中いつでも育休取得可 音声読み上げなし
掲載日:2021/06/16
適用除外や申出要件のために育休を取れない現状があった
奈良先端科学技術大学院大学は、2020年4月より、育児休業取得に係る適用除外(1年以内の退職が明らかな場合育児休業が適用されないこと等)や 、申出要件(1年以上勤務していること、養育する子が1歳6か月に達する日までに雇用契約が満了することが明らかでないこと等)を廃止しました。これにより、雇用契約期間中にいつでも育児休業等を取得できるようになりました。
きっかけは一人の若手教員からの問題提起でした。男女共同参画室のランチミーティングにて、育休に関する学内規程や労使協定等のもつ課題について話題提供していただいたのです。若手ポストが任期制に移行しつつあるなか、既存の制度では出産可能年齢の研究者が育休を取得できない現状について、参加者間で意見交換をしました。
幹部層のコミットメントと室・課の連携
その後、人事課が中心となって、男女共同参画室会議での審議、人事労務担当理事との調整、過半数代表者による就業規則等の改正案に対する意見聴取を経て、学内規程の改正と労使協定の廃止を行いました。
若手教員による問題提起から約半年後に制度改編を行うことができたのは、ランチミーティングに男女共同参画室室長(兼事務局長)や男女共同参画担当の学長補佐が参加し、若手教員たちの生の声を聞いたこと、そして何より、就業規則や労使協定に関する実務を担う人事課が、制度改編の過程において主導的な役割を果たしたことにあります。
安心して研究生活を続けることができるように
学内規程等の改正に向けた過程で他大学の状況をヒヤリングしたところ、育児休業取得に適用除外や申出要件がある大学は多く存在するようでした。昨今は40歳頃までは任期制のポストにある方が過半という現状があります(科学技術・学術政策研究所「大学教員の雇用状況に関する調査」2015年)。育児をしながら安心して研究生活を続けることのできる研究環境とそのための法整備には、まだまだ課題があることがわかりました。
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
★E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている