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岡山大学
岡山大学病院における医療職のキャリア継続支援の取組 音声読み上げ


掲載日:2022/02/28
更新日:2023/11/30

岡山大学では、平成19年-21年度(2007-2009年度)文部科学省医療人GPに採択されたことを契機に病院全体の取組として女性医師のキャリア支援を継続して行ってきました。平成22年度(2010年度)からは性別に関わらず、柔軟な働き方を可能としました。さらに、令和元年度(2019年度)に岡山大学病院ダイバーシティ推進センターが設置され、取組の対象を全医療職として展開しています。

1.医師の柔軟な勤務体制の構築

岡山大学病院では平成19年度(2007年度)に妊娠・育児等により通常勤務が困難な医師を対象として柔軟な勤務が選択可能な「女性医師支援制度」を導入し、平成20年度(2008年度)より運用を開始しました。その後、利用対象を男性も可とし、現在は不妊治療や介護も利用理由として組み込んだ「キャリア支援制度」として運用を継続しています。2023年度現在、本制度利用者は通算193名となり、着実な成果を上げています。キャリア支援制度によって岡山大学病院の女性医師割合は18.4%(平成19年度:2007年度)から26.5%(令和5年度:2023年度)まで増加し、中でも助教の人数は10名(平成19年度:2007年度)から37名(令和5年度:2023年度)まで著明に増加しています。また、平成27年度(2015年度)と比較すると、講師2名→5名、准教授2名→6名と上位職の人数も増加しています(資料1)。さらに、近年女性医師の学位取得者の約2割が本制度利用者であり、学位取得促進にも寄与しています。

また、キャリア支援制度の利用年数は子ども1名につき3年までとしており、制度利用後は地域の医療機関で勤務するケースも多いです。平成25年度(2013年度)のデータでは、制度利用者の56%が利用後地域の医療機関で勤務しているデータがあり、地域医療への貢献も果たしているといえます。
さらに令和2年度(2020年度)より「ワークシェアリング制度」を新たに設けました。本制度では同診療科の複数名の医師が1人分の勤務枠をシェアしながら働くことで、急な不在時等は互いにカバーをしあい診療への影響を最小限にとどめる効果が期待されています(図1)。

<資料1. 岡山大学病院の女性医師数の推移>

 

<図1.制度利用イメージ>

                    

2.相談窓口の設置

岡山大学病院ダイバーシティ推進センター内に病院職員の総合的な相談窓口を設置し、勤務環境や子育て、生活に関する事など様々な相談に応じています。医師のキャリア支援に関しては専任のコーディネーターを配置し、相談者のおかれた状況や問題に対して個別に対応を行っています。より専門的な立場や機関への相談を必要とする場合は、同センターが窓口となり適切な相談先・メンターを紹介しています。

3.次世代育成支援

子どもの健やかな成長と医療者の勤務の継続を両立するため、様々な子育て支援を行っています。キャンパス内で行っている一時託児支援は、土曜の日直時、小学校や園の急な休校時、保育園入園齢に達するまでの期間等に活用されています。また小児発達を専門とする小児科医を講師としたペアレントトレーニングを毎年開催し、発達特性に応じた子育てについて学ぶ機会を提供しています。
病中・病後児保育施設は平成21年度(2009年度)に設置し、安定的に運用されています。担当する看護師や保育士には緊急時トレーニングを定期的に実施し、質の高い保育の提供を目指しています。また、本学医学科学生、他大学の医療保育士を目指す学生などの実習指導も行っています。令和4年度(2022年度)からは岡山大学病院で夜間業務に従事する医療者の未就学児を対象に月1回の夜間保育を実施しています。安定した実施を目指して夜間保育運営委員会を継続的に行いながら運営を進めています。この他、学内保育士と外部託児業者による一時託児も行っており、夜間保育と合わせ、2023年2月より岡山市の認可外保育施設として正式設置しました。

4.環境整備

妊娠や出産後等の体調不良時の休憩や、授乳・搾乳が可能なスペースを敷地内に設けています。マタニティ白衣(島根大学が産学連携で開発されたもの)の貸し出しサービスなども行っています。

5.医療者のキャリアアップ支援

育児等で一時的に臨床から離れていた医師らの再教育として、最新の医学知識を学ぶためのセミナーやシミュレーターを用いたトレーニングを開催しています。コロナ禍においてはe-learningやオンライン研修会を活用して取組を継続しています。また、休日に自己学習の時間を確保するための無料の託児がついた学習スペースを提供しており、医師を中心に利用されています。

6.医師不足地域への支援

県北部地域等の医師が不足する地域に対し、その地域で診療に従事する医師をプロジェクトリーダーとした支援活動を展開しています。具体的には岡山大学から講師を派遣しての看護職、介護職を対象とした緊急時の初期対応を学ぶトレーニングやFDの実施(地域の指導者育成)、岡山大学とリアルタイムで配信するWEB医療セミナーの開催、産休・育休時に複数医師で診療をカバーする支援ネットワークの形成等を行っています(図2)。

<図2. 医師不足地域への支援 >

 

【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
  戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
  成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
  双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

問合せ先
岡山大学病院ダイバーシティ推進センター

 


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