ウィーン大学だけでなく、オーストリアでは、各大学の管理運営を担う上部機関における女性参画が進んでいます。オーストリア連邦教育科学研究省の統計資料(BMBWF(2018), Gleichstellung in Wissenschaft und Forschung in Österreich, Wien)によると、オーストリア全体で、大学協議会では139名中68名が女性、学長協議会では94名中45名が女性、評議会では492名中225名が女性です(2016年)。
ウィーン大学では、3セメスター連続の女性研究者キャリア育成プログラムを実施しています。1つはプレドク向けのプログラムで、メンター、コーチング、トレーニングで構成されています。メンタープログラムで学生は、自然科学系と人文社会学系をさらに区分したグループに別れて、希望するメンターを教員の中から指名し、助言指導を受けます。メンターは研究面での助言は行わず、学術面の助言、例えば学部独自の問題について助言を行います。次の段階が、コーチングです。コーチングは専門家(研究職)が、キャリアについての助言を、基本的に学生と1対1で行います。メンターとコーチングでは、担当者、助言する内容、方法が、明確に区別されています。最終段階がトレーニングで、学生はプロジェクトマネージメント、リーダーシップ、コンフリクトマネージメント等を集中的に(2日間で)習得します。「FEMAC(Career Development Programme for Female Academics)」は、ポスドクおよびハビリタチオン志願者を対象とするプログラムで、英語で行われることが特徴的です。コーチングとトレーニングを内容とし、とくに後者に重点を置いています。助成金の申請やハビリタチオン試験対策に役立つ等、受講者の満足度は高いそうです。また、このプログラムをきっかけに研究費を獲得する者も出たそうです。