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大学教員と薬剤師を両立すること これが私の目標です!(2020年7月6日掲載) 音声読み上げ
広島国際大学薬学部 助教 覚前 美希
「学生にとっていちばん身近な薬剤師として薬学を伝える。」これが私の目指す教員像です。具体的には、大学教員として教育・研究を行い、薬剤師として臨床現場に立ち続けることです。私は6年制薬学部の第1期生として卒業しました。卒業後は、大学病院で5年間薬剤師として働き、調剤、無菌調製業務、病棟業務など幅広く経験を積みました。特に病棟業務においては、患者さんに信頼して頂くことの重要性に加え、服薬指導の大切さ、難しさを日々実感する毎日でした。患者さんから「ありがとうね。」と言われた時の嬉しさを今でも覚えています。また、医師に処方提案を行うことや多職種と連携することで、日々やりがいを感じながら病院薬剤師として働いていました。
ある時、母校のオープンキャンパスにて病院薬剤師について講演を行う機会を頂きました。
高校生や薬学部の学生に対し講演を行う中で、「病院薬剤師としてのやりがいを自ら薬学生に伝えたい!」と思うと同時に、「学生にとって身近な薬剤師が教育現場にいることで伝えられること、伝わることがあるはず!」と強く思いました。この強い思いを実現するために私は母校の教員になる決意をしました。
現在は、主に薬学部4年生対象の実務事前実習を担当しています。実務事前実習では、調剤、無菌調製、服薬指導やチーム医療に欠かせないコミュニケーションを教えています。教員として教える立場ではありますが、学生と関わる中で得られる新たな発見もあり、日々勉強だと実感しています。
加えて、臨床現場のタイムリーな情報を学生に伝えるために、週に1回ではありますが、大学と連携・協定を結んでいる病院で調剤をはじめとする薬剤師業務研修を行っています。大学教員となった今でも、臨床現場に立ち続け、最新の情報を薬学生に伝えることができるよう頑張っています。
研究については、臨床現場に直結したテーマで行うことができないかと常に考えていました。色々なご縁があり、現在は、行政、薬剤師会、大学との共同で、薬剤師の行動科学的介入が患者さんの行動にどのような変化をもたらし影響を及ぼすのかについて研究を行っています。患者さんへのアプローチ法を探るこの研究は、服薬指導の大切さ、難しさを経験したことがある私にとって、とても興味深いものでした。このような研究の機会を頂いたことに大変感謝しています。薬剤師の先生や、様々な方にご協力いただき、研究者として慣れないことばかりではありますが、日々頑張っています。先日、研究協力者の薬剤師の先生から「患者さんのためになるこの研究に参加してよかったです。」という言葉を頂きました。私にとってすごく嬉しい言葉でした。患者さんと関わっておられる薬剤師の先生からの言葉であり、この研究が患者さんのためになっているとうことを実感できた瞬間でした。その他、薬剤師会と連携して、ヒヤリ・ハット事例を収集し、医薬品適正使用および医療安全に生かす取り組みにも携わっています。今後も、患者さんのためになる、臨床現場のためになる研究を行っていこうと考えています。
最後に、私はスポーツが大好きです。休日は、野球やバレーボールの観戦を楽しんでいます。テレビで観戦するだけでなく、球場や体育館に足を運びます。県外に応援に行くこともあります。最近、スポーツが大好きということもあり、認定スポーツファーマシスト*の資格を取得しました。今後はスポーツファーマシストとして、啓発活動にも積極的に取り組み、薬学とスポーツをテーマとした研究も行っていきたいと考えています。
「学生にとっていちばん身近な薬剤師として薬学を伝える。」「大学教員として教育・研究を行い、薬剤師として臨床現場に立ち続ける。」これからも自分のポリシーを貫き、私らしい道を歩んでいこうと思います。
* 公認スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師です。 薬剤師の資格を有した方が、(公財)日本アンチ・ドーピング機構が定める所定の課程(アンチ・ドーピングに関する内容)終了後に認定される資格制度です。(公式HPより)