【中国・四国ブロック】高専ならではの教育・研究活動~わたしのやりがい~(2021年9月21日掲載) 音声読み上げなし
新居浜工業高等専門学校 教授 高見 静香
高専に赴任して今年で14年目を迎えました。当時は助教として採用され、その後准教授を経て、現在は教授の立場で教育および研究活動に携わっています。50代の入り口が近くに迫ってきた今年度は学科主任を拝命し学科および学校運営に携わっています。女性教員が主任として着任するのは本校では約8年ぶりです。学校運営には校長、副校長、主事、学科主任等が参加しており、経験豊富な男性教員が占めています。男女共同参画の観点から女性の視点での意見を反映させるべきと気負いもありますが、私自身の疑問点や改善につながる提案について積極的に発言をしています。そして、学科の意見も学校運営の場で発言をしています。学科運営でも、ベテランから若手の学科教員達とのコミュニケーションを取りながら潤滑に行えるように取り組んでいます。これまでは、1人の学科教員として任された仕事に取り組み学科運営に携わってきましたが、学科主任は学科全体を把握する必要があります。学科の学生や教員の立場も把握することが大事です。まだ、経験力が足りていないので周囲の先生方のサポートを頂きながら日々取り組んでいます。また、授業については、昨年度コロナ禍のため、初めてオンライン形式を導入しました。対面授業とは違い、授業中の学生の状況を把握しづらく伝えることの難しさを実感しました。試行錯誤して教材を作り、30分は質問時間を設けて学生からの疑問に答えるようにしました。9月になり対面授業を再開し、オンライン授業内容の復習をして理解度を確認しました。そこで、オンライン授業に向いている学生とそうではない学生との学力差が広がったことを感じました。その後、現在にかけて対面授業を実施していますが、学生にやる気を持たせ学習に取り組んでいく仕掛けをどう作るかが、オンライン授業の重要課題だと感じます。
研究活動では、博士研究員で携わったフォトクロミズムの研究に魅力を感じ、引き続いて実施しています。現在は科研費を獲得し、新しい光機能性有機分子の合成と評価を行っています。研究を効率よく進める上で必要だと感じるのは、学生の意欲と共同研究です。研究を行う上で学生の戦力は必要です。学生に研究の魅力が伝われば、学生自らが意欲的に研究を進めてくれます。高専では、5年生(大学2年生に相当)で卒業研究を実施します。研究室の配属は学科によって異なりますが、私の学科では4年生の後期に仮配属、そして5年生で正式配属となります。最初のころは何にも分からなかったのが、卒業研究発表を終えるころには基本的な実験操作や発表スキルが身に付き、研究内容の面白みが分かってきます。如何に早い時期に研究室の学生に研究の面白みを分かってもらえるか、これが大事だと感じています。校務が多忙になると、学生への指導時間が上手に持てないことが悩みどころです。研究内容上、化学試薬を用いる有機合成実験が必要となり、安全を考えて一緒に行っています。学生だけでも安全に実験が進められる分析実験など実験内容を見直して進めているところです。今年度は、専攻科に進学希望の5年生がおり、非常に頼もしく感じています。専攻科生は5年生にとっては身近な頼れる先輩で、また私には心強い研究パートナーです。また、共同研究は研究内容の進展そして研究へのモチベーションを保つのに必要不可欠だと感じます。現在の共同研究先は、博士研究員の時の研究仲間や先生方がほとんどで、研究内容の本質について議論が行えています。また、学会や研究集会に参加すると懇親会で新しい先生とネットワークができ、共同研究の話題も上がってきます。現在は学会もオンライン開催が多いので懇親会への参加も難しくなりましたが、機会がある時に参加をしたいと思います。
最後に、大学院を卒業してから早くも20年経ちました。しかし、その都度、迷い悩み進んできた20年です。先の事が不安になることもありますが、今ある環境で出来ることを行うことが次に繋がるのだと思います。これからも、周囲の先生方や学生と協力して教育および研究活動を頑張っていこうと思います。