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【東京ブロック】コロナ渦の教育・研究活動と育児の両立(2023年1月4日掲載) 音声読み上げ


東京海洋大学学術研究院 食品生産科学部門 助教 耿 婕婷

中国出身の私にとって、2020年は人生で一番重要かつ大変な年でした。20201月に長男を出産し、4月に東京海洋大学学術研究院食品生産科学部門食品加工学研究室のテニュアトラック助教として着任(任期は5年間)しました。同年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京都の緊急事態措置が発令され、本学の学生たちは登校できない事態となりました。
大学教員としての最初の仕事は、自身の研究テーマ探し、事務仕事の勉強に加えてオンライン用授業資料の作成で大変でした。同時に、模索しながら可愛い息子の育児が始まりました。どうやってこのバランスをとればいいのか?ほぼ同時に母と先生になった私は今でもよくこの時期の苦労を覚えています。

美味しい食品を作れる食品加工技術を研究したい

私は中国の大学を卒業後、中国の食品企業で1年間務めました。その後、来日し、静岡県の惣菜メーカーの工場で、きんぴらごぼうや煮豆等の惣菜生産ラインで働きながら、日本で食品の技術や知識を勉強しようと考え始めました。2年後、東京の日本語学校に入学し、言葉の勉強と同時に大学院を探しました。たくさんの大学の先生にメールを送りましたが、全然返事がなく、4月入学に間に合うギリギリで恩師の大迫一史先生から返事のメールが来ました。そして、研究生として半年在籍後、マスターコースに入学し、楽しい研究の生活が始まりました。ドクターコース終了後、食品メーカーの商品開発部門に就職、4年後の2020年に母校の出身研究室に戻りました。現在は研究や学生の教育が楽しくて、やはりこれは私がやりたい仕事と感じています。
現在「低・未利用食資源の有効利用」と「水産加工食品品質改良に関する研究」を大きなテーマとして、かまぼこの品質改良、水産乾燥品の色調改良、可食性・生分解性フィルムの開発、水産品鮮度保持、魚肉の消臭などの研究を行っています。最近では、アコヤ貝肉の有効利用法を中心として研究しています。真珠摘出後、廃棄されたアコヤ貝肉からタンパク質を回収し、いろいろな食品を試作しています。廃棄のアコヤ貝肉は筋肉組織のみではなく、内臓、貝殻、養殖用の紐、真珠を回収する際に肉を溶かすために使用した界面活性剤も含まれているので、タンパク質回収方法の確立が大変でしたが、やっと回収率が高い方法が見つかってきました。
東京海洋大学のライフイベント中の女性研究者支援制度である、研究サポーター(RS)制度を利用し、研究補助の学生を月28時間雇用する支援を受け、少しずつですが、研究が順調に進んでいます。

教育活動について

現在、学生実験以外には、学部授業の「食品貯蔵学」と大学院授業の「食品加工原料論」を担当しています。一級惣菜管理士、フードスペシャリストの資格と開発現場の経験を持っているため、専門知識に関する資料の作成はそこまで大変ではないのですが、授業では日本語の発音が気になっていたので、最初は授業の前に必ず録音して繰り返し練習しました。また、オンライン授業対応のため、30分間の実験操作説明動画を4本作りました。学生たちにより良い動画を提供するため、動画編集の知識も猛勉強しました。授業の中で、商品開発例を紹介する時に、学生達は一番興味を示しており、「初めて食品を開発者の立場から考えることができました。とても興味深い内容です。」と評価されました。

 子育ての模索

同居している母親に息子の面倒を見てもらっているので、平日に研究や教育を中心にして動くことが可能となり、大変助かりました。また、私より夫の職場が家に近いので、いろんな家事も手伝ってくれました。
食品加工について研究している私は、実際に家ではあまり料理をしていませんでした。不思議ですが、息子を産んでから、子育てにすごく夢中になり、毎朝早く起きて、離乳食を作っています。職業病かもしれませんが、最初の時、実験みたいに必ずコントロールを作って、食材を調べたり、少しずつ配合を変更したり、息子の好みを試しました。
平日にもできるだけ早めに帰って、息子が寝る前に少しでも話ができるようにしたいのですが、実際には間に合わない日が大半です。その対策として、息子とテレビ電話をし、「お休みなさい」ぐらいは必ず言うようにしています。学会など週末も仕事しないといけない時は、息子に「ママは仕事があるよ!」とちゃんと伝えているので、現在2歳の息子の頭の中では、ママが家にいない時は、「大事な仕事をしている」と認識しています。
また週末には、必ず一緒に出掛けたり、絵本を読んだり、1日の親子時間を作っています。最初の1年ぐらいは、息子がマスクをかけられないので、コロナ禍で、電車での移動は怖かったのですが、2歳半になって、長時間のマスク掛けを我慢できるようになった息子が大好きな新幹線に乗ることもできました!最近、国語と数学の勉強も始めていますので、息子との勉強時間も作っており、大学生とのコミュニケーションテクニックが2歳の息子にも運用できそうです。子育てもどんどん新しい課題が増えていると思っています。

おわりに

現在、色々な研究者や企業の方に協力を頂いて、研究は順調に進んでいますが、また新しい研究テーマを探しています。研究費の申請にはやはり苦労していますので、これから頑張らないといけません。同学部の女性の先生方から、「子供に母親の仕事中の姿を見せることも、良い教育ですよ」とアドバイスをいただいたので、これから自分と息子が一緒に成長していくことが大事だと思っています。 


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