【関東・甲信越ブロック】夫婦平等な家事分担・家事育児のアウトソーシングで3人育児奮闘中(2023年2月28日掲載) 音声読み上げなし
宇都宮大学工学部 基盤工学科 物質環境化学コース 助教 奈須野 恵理
宇都宮大学工学部の助教として着任して今年で11年目となります。学生時代から微生物生態学を研究しており、現所属の物質環境化学コースでは生物生態の理解に必要な物理・化学の知識修得を目指す「生物物理化学」の講義を担当しています。本コラムでは、2度の出産、コロナ渦を通して働き方に関して考えていることを書かせていただきます。
育児・介護休業法の改正案が成立した2021年以降は男性の育休取得が推奨される時勢になりましたが、2016年に長男を出産した当時は夫が働く一般企業でも男性の育休取得率は極めて低い状況でした。そんな中、夫は私の復職と交代で6か月の育休を取得して家事と育児を一手に引き受けてくれました。コミュニケーションがほとんどとれない乳児と格闘した約5か月の産休・育休期間が終わって職場に復帰したときは、社会的な居場所・役割が与えられていることに改めてやりがいや喜びを感じました。子供が1歳になる少し前からフルタイム共働き生活がスタートし、往復2.5時間の車通勤と月に数回の国内・海外出張が標準だった夫には家事・育児の負担をかけられず、私一人で家事と早いイヤイヤ期の息子のお世話に追われながらもなんとか仕事との両立に努めました。2度目の妊娠で双子と発覚し、1回目を上回る辛い&長い悪阻を経て2回目の里帰り出産で無事2,3人目が誕生しました。9月に復職した時は、子供3人の朝の支度、2か所の保育園送迎から寝かしつけまでほとんどワンオペだったので、通勤途中で車を運転中に意識が飛びそうになる程心身ともに疲弊していました。大学教員としての繁忙期を迎え、帰宅して子供達を寝かしつけてから毎日深夜に修士論文・卒業論文に関する添削・指導をして限界まで追い詰められた2020年の2月、突如始まったコロナ渦に対応するため夫の会社では在宅勤務が認められ出張頻度が激減しました。子供達も私の職場・自宅から10分以内で行ける認定こども園に一緒に通えるようになり、平日開催の園行事は夫婦そろって参加したり夫婦の仕事の都合に合わせて子供の病気・怪我対応を分担したりできています。未曾有の災害とも言えるコロナ渦ですが、デジタルツールが急激に普及したことでリモートワークが定着し、会議・講演会などにオンラインで参加可能になり、ワンオペになりがちな子育て世代にとって働きやすい方向へ転換した側面もあると感じています。
また、男女共同参画推進室協力のもと、本学の子育て世代の教職員同士で情報共有する子育てサークルを2020年4月に発足しました。Zoomによるランチミーティングを定期的に実施し、学内の研究補助員制度、ベビーシッター派遣事業などの情報や子連れ学会参加ノウハウを共有したり、男女関係なく同じ悩みを抱える子育て世代と話ができてお互い安心したりと有意義な活動となっています。サークルメンバーは、夫婦の家事育児参加比率がほぼ平等なケースと、両親にSOSを出しやすいケースが多いように感じます。両親の協力が得にくい場合は、相手の家事スキルに不満があったとしても妥協して子供達が寝るまでの家事を分担して早く終わらせるか、夫婦でそれぞれスキルの高い作業に特化するかして家庭内の“シゴト”を効率化することがポイントではないでしょうか。個人的には、ベビーシッターや料理の作り置き・掃除の家事代行を積極的に利用して“シゴト”をアウトソーシングすることを勧めています。慌ただしく子供達と帰宅して疲れていても作り置きされたおかずを温めてスープやサラダだけ作れば夕食をすぐ食べられる、日中に床や水回りが掃除されてピカピカな家に帰宅するという状況は想像以上に精神的な余裕が持てます。3人育児はすごい(大変そう)とよく言われるのですが、子供の人数に関係なく仕事と子育ての両立は誰しも大変ですし、子育てもn = 1よりn = 3になることで多様性が生まれ新しい発見があって面白いです。先輩ママ研究者の言葉を借りるなら「子供が小さい頃の出費は仕方ないと諦めて、使えるものは何でも使う」と割り切って夫婦で乗り切りたいと考えています。