【中国・四国ブロック】ワークライフベストバランスを整えよう!(2023年11月8日掲載) 音声読み上げなし
広島国際大学 健康科学部医療経営学科 講師 景山 愛子
私は商学と教育学の大学院後期課程を2つ単位取得満期退学した経緯があります。1つ目は学部からすぐに進学した時期ですが、1つ目から10年ぐらいの時間をかけて2つ目の大学院に進み、休学を繰り返しながら、3人の子供を出産しました。その間、前職の特任講師としてのキャリアも挟んでいますが、大学環境から離れた時期も6年間ぐらいありました。
4年前からの現職は久しぶりの職場復帰となり、自分の教育面と研究面の両方におけるキャリア作りが急務に感じられました。色々とお声掛けも頂いて、とにかく論文投稿や学会関連、講演のお仕事など、あらゆる学内外での仕事を積極的にこなしてきました。その路線は今もほぼ変わりませんが、私が仕事をする時に心がけていることがあります。それは、「(その時の)自分のベストを尽くす」ことです。
「その時の」というのが重要で、今の私は仕事の他に皆様と同様、子育てと家事をしますが、「もっと時間があったら、良い論文が書けたのに」、「もっと学生たちに時間を割けたら、もっと良い指導ができたのに」という思いにかられることが多々あります。
また、最近は子供が不登校気味になり、小学校に付き添ったり、午前中は担任の先生たちと連携して子どもを小学校に通わせるようなことが生活に追加されました。
このような状況においては、研究の生産性や教育の質の向上は常に課題でありますが、まさにワークライフバランスを取るために、ある時期の「ベスト」は別の時期の「ベスト」と同じでなくても良いと、こだわらなくなり、「今の自分にできることはやった。今の自分のベストは尽くした」と思える仕事をし、自分の「ベスト」となるラインは状況に合わせて引き直して行けばよいと考えるようになりました。
もう一つ、私がこのキャリアに限らず重要と考えることとして、「諦めない」ことが挙げられます。私はこれまで、大学で商学部に進学した時に出会った簿記や会計の世界で、研究活動を行ってきました。女性の研究経験者の中には、結婚、出産、育児のプロセスのどこかで、研究に携わるキャリアから遠のいて、これらの職業を再度目指すには頑張れる気がしないと感じる人がたくさんいるのではないかと思います。私は現職に至るまで子育て中のブランクの間も、この職業に復帰できることに対して何の約束も見通しもありませんでしたが、どこにも所属せず、細々と学会活動や研究を続けて、この世界に携わろうとしました。つまり、ずっと諦めなかったのです。
今から研究職や大学教員を目指す女性の皆さんには、現代は、男女比率が考慮されたり、様々なキャリアパスが認められるようになっており、女性としての自分や、以前のキャリアが必要とされる場所がきっとどこかにあると思って諦めないでほしいと思います。そして、自分が就きたい職を諦めることなく探し続けるということもセットで実践して頂きたいと願います。
私の専門は会計学の管理会計という分野です。職場は学生たちに医療と経営を教える珍しい学科です。これまで企業や高等教育機関に関する研究をしてきましたが、今や医療に関わる分野で研究をすることになり、現在は、科研費を獲得して、医療機関の社会に対する貢献度を会計的に測定しようとする研究を始めたところです。この研究は地域や医療機関に密着することが必要な作業であり、現地に出かけていき、多くのご協力を頂いて、実現するものと考えています。そのために、今後は益々、仕事の比重が大きくなる可能性がありますが、子供たちの成長に助けてもらい、職場のご理解、家族のサポート、家事サービスさんへの依頼、子供の同級生のママ友つながりなど、様々なところからお力を借りて、仕事と家庭のワークライフベストバランスを取って、今後も頑張っていきたいと考えています。