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【北海道ブロック】案ずるより産むが易し?⽬指せ!ワークライフハーモニー(2023年11月16日掲載) 音声読み上げ


北見工業大学 工学部地域未来デザイン工学科 助教 近藤 寛子

私の勤める北⾒⼯業⼤学は、北海道のオホーツク地⽅にある⽇本最北端の国⽴⼤学です。“北⾒”と聞くと就職先の候補外にされてしまうかもしれませんが、多くの学⽣は真⾯⽬で、研究環境もそれなりによい、魅⼒的な⼤学だと思っています。赴任前は冬の寒さに不安がありましたが、暖房設備が充実しているために本州よりも暖かく過ごせます。⾃然豊かで空気も⾷べ物も美味しく、⼦育てもしやすい環境だと感じています。

さて、北⾒のアピールはこの辺りにして、ここからは私の研究者としての道のりと、出産を経て感じている研究者(⼤学教員)という職業の魅⼒について書いてみたいと思います。私は計算科学の研究室で学位を取得し、バイオインフォマティクスや計算化学の研究室でポスドクをした後、2018 年に北⾒⼯⼤に赴任しました。専⾨分野は計算⽣物物理学で、⼯学部ではありますが、タンパク質の構造・機能相関や機能発現機構の解析といった基礎研究を⾏っています。私は、研究者としては、周りの⽅々のお⼒添えで何とか⽣き延びてきた⼈間です。「⼥性教員⽐率向上」の施策にも助けられたのではないかと思っています。ポスドク時代はなかなか研究成果が出せず脱落の危機でしたが、所属研究室の教授や先輩のサポートのお陰で研究職を続けてこられました。実のところ、北⾒⼯⼤に赴任したときには殆ど業績はありませんでした。しかしながら、このままでは⾯⽬ないという気持ちと、共同研究者の⽅々の⼒添えや北⾒⼯⼤の環境が追い⾵となり、徐々に論⽂数は増えていきました。

仕事が波に乗ってきた時期ではありましたが、年齢的なこともあり、出産も意識するようになりました。要領の良くない私には仕事と育児を両⽴させる⾃信はありませんでしたが、案ずるより産むが易しと考え、今年のお正⽉に出産し、4 ⽉に仕
事復帰しました。 3 ヶ⽉になったばかりの息⼦を保育園に預けるのは、正直なところ不安もありました。 1 歳頃までは親が育てたほうが良いというご意⾒もいただきましたし、私⾃⾝も昔は漠然とそのように考えていました。しかし、いざ現実となると、仕事を⻑期で休むことに難しさを感じました。葛藤はありましたが、夫や先輩教員の⽅に背中を押していただき、現在に⾄ります。幸い、息⼦は⼩規模保育園で⼿厚い保育を受けられています。

出産してみて感じたのは、研究者(⼤学教員)という職業は⼦育てをする上で利点が多いということです。裁量労働制のため、ある程度融通が利きますし、教員には個室が与えられることも多く、職場で⼦供の⾯倒を⾒るという最終⼿段がありま
す。また、ライフイベント期の教員⽀援制度も整ってきています。そして何より、周りに⼦育てに理解のある⽅が多く、とても幸せな環境であると思います。⼤学によっては講義の分担や委託が簡単ではないことや、保育⽀援が難しいことなど、まだ課題もありますが、徐々に解決されることを期待しています。

私の⼦育てはまだ始まったばかりで、試⾏錯誤の毎⽇ではありますが、ワークライフハーモニーの重要性を感じています。いま⼦育てを⼼から楽しめているのは、家族や周囲の⽅々、保育園のサポートを得て、好きな仕事ができているからだと思
います。出産前に⽐べると研究に割ける時間は格段に減り、研究が思うように進まないもどかしさはあります。⼦育てにもっと時間をかけるべきではないか、という思いもあります。決して簡単ではありませんが、思い悩んで仕事も育児も共倒れではなく、互いを⼒に相乗効果を⽣み出せるのが理想だと思っています。

これから研究者を志す方には、是非、仕事も生活も欲張ってほしいと思います。好きなことを仕事にすることはワークライフハーモニーの第一歩だと思います。そして、案ずるより産むが易しです。今後、ダイバーシティが更に推進され、様々な
立場の方が充実した生活を送れる環境が整うことを願いつつ、私も少しでも周りの方々のお役に立てるよう精進していきたいと思います。


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