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【東京ブロック】豊かさの象徴、ダイバーシティ(2024年1月15日掲載) 音声読み上げ


東海大学 建築都市学部土木工学科 准教授 寺田 一美

とにかく、イラっとせずにいたいなぁ~。通勤途中ぼんやりそんな事を考える40代前半、水環境学専門、准教授1名。それが私です。
朝起きて自分の身支度もそこそこに、0、2、9歳児の洗面を行い、保湿クリームを塗ってお着替え、それぞれのご機嫌を取りながら犬のお世話、お散歩。夫とバタバタ支度しながら朝ごはんを食べさせて、それぞれの持ち物を準備して、熱を測って保育園のノートを書いて、ワタワタ保育園に送って、ようやく第一関門突破!が、我が家の平和な日常です。
平和が乱されるのが子供達の体調不良です。一気に全ての予定と日常が崩壊します。学生や大学関連各所に謝りのメールや電話を入れ、予約開始時間を時報でカウントダウンしないと予約が取れない小児科の予約を取るべくパソコンに貼り付いて、機嫌の悪いお子たちをリンゴジュースで宥めつつ車に乗せ、小児科でも暴れ回る次男を看護師さんの助けを得てなんとか受診させ、次の難関(薬局)へ向かい、その合間にスマホでメールをチェックするみたいなカオス!に突入します。
男の子、男の子、女の子の3人兄弟がいいな〜と夢見て実現し、ハッピー!はいいものの、まさに分刻みのスケジュールに突入し、やたら独り言(えーっと、次何するんだっけ?)が増えた今日この頃。慌ただしい日々だからこそ、大切なのは家族の笑顔、そのためには自分も笑顔でいないとな、としみじみ思います。

ダイバーシティとは多様性であり、豊かさとも捉えられます。私が研究対象とする石垣島のサンゴ礁・マングローブ林も、生物多様性の高さで知られており、その生態系は互いに干渉し合いながらうまくバランスを取り、美しい自然を保っています。
マングローブ林が繁茂する沿岸域は、潮の満ち引きによって炭素や窒素、リンといった栄養分が行き来し、近隣の海草藻場に運ばれ植物に利用されます。一方、貧酸素状態にあるマングローブ林に、サンゴ礁の高濃度酸素水が流入することで酸素が回復し水生生物の住処と成り得るなど、物質が異なる生態系間を循環し、うまくやり取りしています。

我々人間も男性、女性、そのどちらの枠でもない方々、何かハンディをお持ちの方々、みな違う個性が集まることで豊かさを生み出しています。一方で、自分と異なる価値観に出会うとびっくりしたり、ついイラッとしてしまったり誰にでもある事かなと思います。最近読んだ本に、「生きるとは、ただ一つの暮らしを耕すこと。他力を頼り、自分は一人ではないのだと知ること。違いを認め合い、わからなくても面白がること。」という言葉がありました。おー!まさにこれだ!と思いました。分からない、を否定的に捉えるのではなく、分からないからこそ面白い、と思える発想は、心をちょっと軽やかにして、自分も周りもあったかくするキーワードだと感じました。出産や育児、介護だけでなく、例えば事故、病気や心身のハンディなど、何か資源やマンパワーが不足しているところがあれば、互いにほんのちょっと助け合う、そんな気持ちの持ち様が、私たちの豊かな社会をさらに豊かにしてくれるのではないかと思っています。

女性研究者支援事業、私も本学で受けており大変お世話になっています。学科の皆様はじめ周囲に恵まれて、今の私があります。でもできれば、“女性”支援という言葉ではなく、育児支援、介護支援など、性別は関係なく、必要な手立てを必要な箇所にうまく配置できるような、そんな風潮になるといいなと思います。

もう一つ、好きな言葉があります。「情熱と呼吸」です。ある国の駐日大使の女性が大切にしている言葉として、TVで紹介されていました。気づくとあっという間に1日が終わっている私ですが、仕事への情熱、家族への愛情を心に留めて、一瞬一瞬を大切にしたいな、と思っています。そしてついついイラっとしてしまいがちな私ですが、イライラするときは大抵自分に余裕がない(体力、精神的どちらも)、または時間に余裕がない時で、ほぼほぼ息も浅くなっています。はっ、イライラしている!と気づいた時は深呼吸をして、なんとか笑顔でいたい…!と願っています。うまく心と体を整えつつ、次の夢に向かって頑張りたい今日この頃です。


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