【近畿ブロック】「私たちが未来を創る!」京都女子大学ジェンダー教育研究所学生リーダーの挑戦(2024年8月20日掲載) 音声読み上げなし
京都女子大学 ジェンダー教育研究所 助教 戸田 香
「社会の変革を担うリーダーとして活動する京女生の輪を広げていきたい」
そんな学生たちの思いから始まったのが、京都女子大学ジェンダー教育研究所の「学生リーダー制度」です。現在、2回生から4回生までの計24名で構成されています。学部は法学部、現代社会学部、発達教育学部、文学部、家政学部、と京都女子大学のほぼ全ての学部から学生が参加してきています。京都女子大学では、以前から、学生有志らが、竹安栄子学長を囲んだジェンダー課題の勉強会やキャリアを考える学内向けイベントを開催するなど継続的な活動を行っていました。そんな中、2022年10月に京都女子大学ジェンダー教育研究所が発足しました(所長:手嶋昭子法学部教授)。研究所は、建学の精神に則り、ジェンダー教育研究に関する国際的な拠点として、ジェンダーに関する諸課題の解決、特に社会における多様性の尊重とジェンダー平等の実現に寄与することを目的としています。
研究所の理念に真っ先に賛同してくれたのが、この学生有志たちでした。「最初は、研究所にほぼ“押しかけ”る勢いだったんです。研究所が出来たので、私たちの活動をさらに広げて、次の京女生に繋げていければ、と勝手に狙っていました」と学生リーダーの1人である金井響加さん(現代社会学部4回生)は笑います。この“押しかけ”活動は、2023年度に研究所に承認され、「大学の発展と、社会における多様性の尊重とジェンダー平等の実現に寄与する存在」として研究所の活動の一環に位置づけられました。その後、学内でメンバー募集がなされ、応募してきたのが今のリーダー達です。
新谷美晴さん(発達教育学部2回生)は、「1回生の時にジェンダーに関連した講義を受けて、もっと知りたいと思ったのがきっかけ。私は母子家庭で育ったのですが、私が感じてきた課題は、個人の問題ではなく、社会の課題だとわかりました。今、知的障がい者を支えるボランティアをしていて、これまであまり取り上げられてこなかった分野のジェンダー課題に取り組んでいきたい」と意欲を語ります。有馬さん(法学部2回生)も「講義で学んでもっと知りたくなった。ここは同じ問題意識を持つ友達が大勢いる」と思いを語りました。有馬さんは、学生リーダーのロゴやオンラインミーティングの際に使う背景画像などのデザイン案を作成しています。石井亮子さん(現代社会学部3回生)は、他のメンバーと議論して、2024年度の年間活動計画を立案し、研究所の学内公募型プロジェクトに応募しました。活動計画は2024年7月に採択され、予算承認もなされました。「私たちの計画を研究所に認めていただき、これから他の学生を巻き込んで活動できることが嬉しく、楽しみです」と話しています。学生らは複数のグループに分かれ、それぞれリーダーとサブリーダーが牽引します。私はアドバイザーという立場で関わっています。
活動をいくつかご紹介したいと思います。「京女キャリアラボ:正解も間違いもない、それぞれが前向きに考えられる人になる」と題した学内向けイベントの複数回での開催が計画されています。例えば、京都女子大学のリカレント教育課程で学ぶ学生を招いてワークライフバランスについて議論したり、育児を担う男性がアメリカ映画でどのように描かれてきたのかを学ぶため、別の女子大の教員を招聘したりする企画もたてられています。この大学からは学生らも参加し、学生リーダーと協働で作り上げていくプランが進んでいます。一連のイベントを主導する鞍馬英奈さん(法学部4回生)は「他の大学の学生と一緒にジェンダーに関連したイベントをやるのは初めてで、チャレンジになります。4回生という大学生活最後のタイミングで取り組めるので楽しみです」と話しています。
また「あなたにとっての京女Spiritsとは?」というテーマで学生や教職員にインタビューを行い、京都女子大学の課題分析や展望を検討するほか、研究所や学生リーダーの活動を紹介する動画やフリーペーパーの制作も行い、学内共有を図っていきたいということです。「学生や教職員のジェンダー課題への熱い思いを、学内でひとりでも多くの人に知ってほしいと思っています」(発達教育学部4回生川北奈都さん)これ以外にも、外資系大手IT企業ともコラボレーションしたイベントも予定されています。
いずれも魅力的な活動であることは勿論なのですが、何より、ジェンダー平等実現を目指して、学生らが主体的に取り組んでいる点がこれまでなかったことで、特筆すべき点だと考えています。手嶋所長は学生リーダーの活動について「何が出てくるのかとても楽しみ。教員にとって、学生の力を信じて任せる、というチャレンジでもあり、大いに期待しています」とエールを送ります。私も積極的に学生リーダーの取り組みを応援し、学生たちが実り多い成果をあげられるよう(学生リーダーに置いていかれないように)併走していきます。