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【東海・北陸ブロック】諦めが悪い私のワークインライフ(2025年3月3日掲載) 音声読み上げ


富山県立大学 看護学部 看護学科 講師 朝倉 理映

 「宇宙一♪大切な♪〇〇ちゃん♡
    かわいいねかわいいよ〇〇ちゃん♡」

この歌は自作の子守歌で、子どもを授かったときから毎日、歌っている大切な歌です。私の一日はこの我が子かわいいソングで始まり、寝かしつけもこの歌で終わります。

私は富山県立大学看護学部で教員をしています。以前は、看護師や保健師をしていました。大学教員としては、まだまだ新任期です。
そして、私を語るうえで外せないことがあります。それは、高校生の時に国指定の神経難病を患い、人生の半分以上を難病と共に生きているということです。発症時は右半身完全麻痺で眼や口、手足を動かすこと等今まで当たり前にできていたことが全くできませんでした。今は入院加療や内服治療で何とか生活できています。一目では分からない障害が残っており不自由さを感じることもありますが、十分満足しています。

私は2019年、大学着任早々、難病で諦めていた子どもを授かりました。子どもは本当に宝物で、妊娠が分かった日以降私の人生が一変しました。
産まれた子どもは先天性の障害を抱えています。出生後、NICUGCUを経て退院しました。子どもと一緒に過ごせることが特別だったので、今でもその時間は何よりも大切にしています。私たちは母子ともに病院への通院や障害関連手続きが必須です。我が子は健常児と比べてゆっくり成長しています。手はかかりますが一つ一つの成長に大きな幸せを感じ、そのおかげで私の持病も再発しないどころか以前より健康に過ごせていると思います。
妊娠で就業に関するドクターストップもあったため、子どもが2歳になった時、教員として3年周回遅れのスタートを切り、夫と生活していた東京から富山に母子のみで赴任しました。
富山には縁もゆかりもなく周りの方から「母子二人で近くに身寄りもない生活は大変でしょう。」と言われます。本当にその通りですね。子どもが毎月12回発熱し子ども園を欠席しなければならない等、私自身血の気が引くことを3年間繰り返してきました。子どもの体調が悪い時でも傍にいてあげられないことにいつも申し訳ない思いを抱きながら、病児保育を利用して凌いでいます。その分一緒にいる時は宇宙一大切に可愛がるのです。  
そのような状況で仕事ができる時間に限りがあり、毎日あっという間に子どものお迎え時間になります。育児や教育は待ったなしの為、どうしても研究の時間が思うように確保できず、「分身の術ってどうやるのかな」なんて考えながら子どもを寝かしつけた後や休日、パソコンと向き合うこともしばしばあります。

夫とは毎日、夕食時ビデオ通話で話しています。夫は私が学会出張する時は、毎回、子どものために駆けつけてくれます。物理的な距離こそありますが、同居していた時よりコミュニケーションが濃密な自信が有ります。

現在、私が行っている研究は行政保健師の人材育成に関することです。 行政保健師のキャリアや成長について保健師時代から関心があり、研究で保健師の方々とお話できることがとても嬉しいです。自分が感じていることと同じような悩みを抱く保健師の人材育成の一助となる提言をしていきたいと思います。そして、今後は子どもが私を母として選んでくれたことに意味があると思うので、障害児と家族の看護に関する研究もしていきたいです。  

気持ちはいつも前向きなので、時間の確保を何とかしながらスローステップでも良いので、研究成果で社会に還元したいと思っています。また、これからの看護を担っていく学生が、社会に出て困難な状況に直面した時「朝倉先生はあんな状況でもやっていたんだから私にもできるかも」と思ってもらえたら私のやり方は成功ですね。師にはなれなくとも里程標になることができれば良いなと思っています。
私のように病気があっても、障害があっても、母子生活であっても、母・妻・教員・研究者として、どれも諦めたくない欲張りな私のワークインライフは24時間365日フルタイム全力疾走を続けています。
今後、お会いできた際は無我夢中にもがいている私に是非一言応援のエールをよろしくお願い致します。


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