「Stay Home!」女性研究者たちはどうしている?! 音声読み上げ
「新型コロナウイルス「Stay Home!」の今、我が家の経過した道 <大学 女性教員>
Stay Home!の言葉と共に在宅勤務となった我が家は、私にとってかなり息苦しいスタートでした。
うつ病の夫、引きこもりの息子とのStay Home
昨年よりうつ病を発症してずっと自宅療養の夫、大学を休学しているやや引きこもり傾向にある息子。元々完璧といえるStay Homeの男2人のいる家にずっと一緒になるのです。昨年、うつ病で不眠の夫に引っ張られる様に、自分も不眠傾向になり苦しみました。夫はうつ病の薬に睡眠薬もありますが、仕事をしている自分は、なかなか薬も飲めず、つらい毎日でした。このStay Homeで、自分が崩れるかもしれないと悩みました。
「自宅・現実逃避」から腹をくくる!へせっかくのStay Home!
もともと大学の看護学部に勤務する前は、医療の最前線にいた自分、何度か災害時は、派遣され災害支援ナースとして被災地に赴きました。そのときは、母として毎回、家族に遺書を書いています。それぐらいの熱い想いで現場に行っていた自分が、今回の新型コロナウイルスでは、同じ看護師として家にいることは出来ない!と考えたからでした。ところが、現在の守るべきところは大学で、今いるところを守る・務めることにしました。いつも自宅外にいる方が自分の健康にも良いと思っていました。しかし、毎日在宅勤務を過ごしていくうちに、「自宅・現実逃避の気持ちが強かった」と思えるようにもなりました。ここは、腹をくくり、せっかくのStay Homeだ!うつ病の夫・引きこもりの息子にとことん付き合っていこうと決めました。悩んだ末の決意です。
在宅での作戦始動楽しく過ごす工夫!
どう過ごすかを考えたときに、せっかくのStay Homeを楽しむ事にしようと考え作戦をたてました。
まず 作戦① おいしい食事をつくろう!(医食同源)家族が心も元気になるご飯を!
苦手な料理、でも自分なりに頑張りました。料理に費やす時間と品数と愛情を増やしました。好評です。(おっ!息子「おいしい」つてくれるようになった。きっと作る母親に気も遣っているな!)
作戦② 1対1で話す機会を増やそう!
夜中起きている息子、昼夜逆転傾向の息子と普通の生活の夫と私、仕事をしていると、なかなか息子とは、ゆっくり話せませんでした。朝早く一人ご飯を食べる息子に付き合って朝食とる様にしてみました。そして、夫とは一緒にウオーキング、買い物などを共に過ごしました。そうすると変化が現れます。(息子、話をしてくれるようになった。長く色々話せるようになったな!)
なんと先日引きこもり君、久しぶりの外出です。「どこに行ってきたの?」「うん、散歩。」「このごろ太ってきたんだよね」(健康に気を使える事は自分を大事に出来ること。よしよし!)スモールステップですが、良かったと思えることが多くなりました。
作戦③ 自分が幸せに 心豊かに過ごそう!癒やしを入れよう!
時々、うつの夫のイライラや落ち込みに自分が影響されてしまいます。自分が心豊かで幸せでないとダメだと考えました。温泉にも行けませんし、家での入浴を快適にしたい、入浴剤にこってみました。エメラルドグリーンのお風呂、温泉気分です。
またお香好きから、おしゃれな蚊取り線香にこってみました。(なかなか良い。)
息子と夫には、モクモクして匂いも強烈な様で不評ですが、一人で満足、幸せ!癒やされています。
物語「青い鳥」の様に自宅での大切なものに気づく
昔読んだ「青い鳥」が久々に頭をよぎります。在宅の作戦も効し今ひそかにゆっくりした生活に楽しめています。詰めなくてはいけないことを今しっかり向き合い家族と生きている実感が湧いている今日この頃です。仕事していると外に何かを求めていて、悩まなくてはいけない課題を後回しにしてきたかもしれません。うつの夫の気持ち、息子の生きづらさ、自己肯定感の低さ、自己効力感のなさが、ずっと一緒にいて感じ取れてきたのではと思います。今まで本当の意味で気づけてなくて申し訳なくも思えました。自分を大事にしながら、夫や息子に家族として、心から温かい言葉をかけていこうと思います。また「いつもありがとう!」と感謝の言葉も伝えています。緊急事態宣言から貰える特別定額給付金を、働いてないから、何もしてないから貰う権利ないと口ずさむ2人に「何行ってるの。存在給といって、いてくれるから一人の人間として堂々と貰えるのよ」と励まします。このせっかくのStay Homeも、捉え方で悪くない!居心地が良くなってきています。長くなるであろう今の我が家の課題は、今後も引き続きゆっくり向き合っていきたいです。
Stay Homeから活かせること
大学では、当事者に寄り添った看護研究をしていきたいと思っています。他者の看護はしてきましたし、教えもしてきましたが、本当の意味で、当事者の家族の気持ち・困難さは、わかっているつもりだけ、心底わかっていなかったと痛感しました。うつ病患者の家族として、今、身にしみて実感しています。今の関わりを、Stay Homeから活かして、「うつ病の家族関連の研究」も良いかなあと思えてきた今日この頃です。