奈良先端科学技術大学院大学
テニュア・トラック制度の独自運用による教授候補の採用 音声読み上げなし
掲載日:2023/12/21
1.教授の女性比率向上が課題
奈良先端大では、テニュア・トラック制※の試行事業などを約10年間にわたり実施し、若手の挑戦的な研究や女性教員の組織的な育成を通じた大学の研究力強化に取り組んできました。男女共同参画室では、研究支援員配置制度の整備、育休取得資格要件の廃止、24時間利用可能な女性専用休憩室の整備(学内4ヶ所)、生理用品の備品化(学内すべての女性・多目的トイレ)等を行ってきました。さらに女性限定公募やクロスアポイントメント制度の活用により女性教員の採用を進めてきましたが、教授の女性比率は低いままでした。そこで、教授候補の採用を女性研究者に限定して行うテニュア・トラック制度の独自運用によって、女性教授の育成を行うこととしました。
※テニュア・トラック制 海外の大学では若手教員を5年程度の任期付きで雇用し、テニュア(終身雇用資格)審査を経てその活躍に応じて定年制雇用に移行するテニュア・トラック本制度の導入が多くみられます。若手研究者の雇用の不安定性を緩和しつつ挑戦的な研究を促す制度として日本国内でも導入が進んでいます。
2.女性研究者に限定した教授候補の採用
国内で実施されている大多数のテニュア・トラック制は准教授の育成を目指して助教を採用する傾向にありますが、本学は女性研究者に限定した特任准教授を公募し、教授候補を採用する取り組みを進めています。
2022年度には2名の女性研究者が採用され、新しい融合分野の開拓を先導する3~5年後の教授として育成されています。2名の着任時には、それぞれ1,000万円の研究経費と博士研究員の雇用経費(いずれも会計年度3年間)を用意しました。さらに講義や学内用務などは最小限とし、研究に専念できる環境を整備しています。着任後3年目にテニュア中間評価、5年目にテニュア審査を行い、実績に応じて定年制雇用の教授に移行することが見込まれています。
3.定年制雇用の女性教員増加は教育環境整備においても重要
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
★A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている