【中国・四国ブロック】国立高等専門学校機構主催「高専 Girls SDGs x Technology Contest (GCON)」への参画と女子学生の成長(2024年9月19日掲載) 音声読み上げ
呉工業高等専門学校 男女共同参画推進室長、人文社会系分野・准教授 蒲地 祐子
呉工業高等専門学校は、2024年に創立60周年を迎えました。2011年頃から女子学生広報部が活動を開始し、広報室の管轄の元、中学生、特に女子学生に高専という選択肢を知ってもらうための広報活動を行っていました。2013年には呉高専に男女共同参画推進室が設置され、女子学生広報部もこれに移管されます。これを機に男女共同参画推進の旗印の元、より多くの女子中学生に高専の存在を知ってもらい、数ある理系進路の選択肢の中に高専を含めてもらいたいという思いがさらに進化を遂げたように思います。高専という枠組みを超えて、ものづくりの楽しさ、工学分野での女性の活躍の可能性について知ってもらう取り組みがさらに盛んになっていきました。
2015年に全学年・全学科の学生が履修する課題発見型授業、「インキュベーション・ワーク」が始まると、女子学生たちは女子学生広報部の名前をMECA女養成プロジェクト(※)に変更し、週90分の時間を広報活動に費やすことができるようになり、主体性や問題意識が増しました。こうした背景から、2005年から2014年までの統計では、入学生に占める女子学生の比率が15%程度であったものが、2015年から2024年までには24%と9ポイントも上昇したのです。2024年には2023年までの高専中期目標を2ポイント上回る32%までになりました。高専制度が60周年を迎え、2024年度から女子学生比率の目標値はさらに35%にまで引き上げられ、呉高専でも特に機械工学分野、電気情報工学分野の女子学生比率を高めることが課題となっています。
国立高等専門学校機構本部においても、女子高専生の行うSDGs達成に向けての取り組み、研究活動、地域実践活動について競う「高専 Girls SDGs x Technology Contest (GCON)」が2022年にスタートし、女子高専生が持つポテンシャルの高さを知ってもらう好適な環境を整えています。呉高専でもこの取り組みに参画し、2022年の第1回大会では4件の応募、2023年の高専制度創設60周年を祝う第2回大会では3件、2024年はまだこれから応募締切を迎えますが、少なくとも3件の応募を見込んでいます。第2回GCONでは、本校MECA女養成プロジェクトの試みは、本戦出場までには至りませんでしたが、予選段階における発表が高く評価され、ダイバーシティ&インクルージョン奨励賞をいただきました。
上掲の呉高専での女子学生広報部を取り巻く教育環境の整備、高専機構本部による男女共同参画推進に向けての取り組み強化によって、本校女子学生たちはすくすくとたくましく育っています。それらは、2022年の近隣中学校における防災授業の実施や、新しい工作キットの作成などにも現れています。こうした、学生自らが課題を見つけ、取り組む活動が今後も続くことにより、男女共同参画推進の活動も名実ともに、育てたい学生像を踏まえた入学者増加の取り組みへと深化していくものと思われます。学生自らが、この学び舎を選んだことを、今後の人生の糧としてくれ、地域社会に自らが参画していってくれることを心から望んでいます。
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